日韓怪異論

死と救済の物語を読み解く

何が〈救い〉で何が〈苦〉なのか、怪異から死生観がわかる

『今昔物語集』、『源氏物語』、能『鵺』、『平家物語』、『万の文反古』、『閑際筆記』、幸田露伴、泉鏡花、『淑英娘子伝』、水陸斎、野談、鬼神死生論、「あの世伝」、「淑香伝」、『三韓拾遺』......
学問のジャンルを超え「人間」と「社会」を捉える際に有効な視点である怪異研究と、東アジアという比較文芸の両視点を取り入れ、〈死と救済〉を全体テーマのもと、日韓のひとびとの死生観を考察する。
はじめに

Ⅰ 日本編

「火車」を見る者たち─平安・鎌倉期往生説話の〈死と救済〉─○藤井由紀子
はじめに
一 『今昔物語集』の「火車」
二 「火車」と「罪」
三 「火車」を捉える視線
おわりに

『源氏物語』における死と救済○藤本勝義
はじめに
一 物の怪に憑依された人物
二 亡霊として夢枕に立つ人物と救済
三 六条御息所と光源氏
四 『源氏物語』前後の作品の死と救済
おわりに

中世文学における死と救済─能「鵺」をめぐって─○姫野敦子
はじめに
一 能「鵺」について
二 夢幻能・現在能について
三 修羅物について
四 修羅物の終末部から見る救済
五 能「鵺」の終末部と和泉式部「くらきより」の和歌
おわりに

死なせぬ復讐譚─『万の文反古』巻三の三「代筆は浮世の闇」を巡って─○佐伯孝弘
はじめに
一 巻三の三「代筆は浮世の闇」の梗概
二 話の典拠
三 復讐の仕方への疑問
四 往生の妨げ
五 話のテーマ
おわりに

幸田露伴・泉鏡花における「死」と「救済」○藤澤秀幸
一 はじめに─「芸」による「救済」─
二 幸田露伴における「死」と「救済」─『対髑髏』と『土偶木偶』─
三 泉鏡花における「死」と「救済」─『化鳥』と『朱日記』─
四 泉鏡花における「死」と「救済」─『夜叉ヶ池』と『海神別荘』─
五 おわりに

Ⅱ 韓国編

朝鮮王朝小説における死と救済の相関性─「淑英娘子伝」を中心に─○沈致烈
一 はじめに
二 死へ走る悲壮と救済の臨場感
三 死と救済の相関性

「水陸齋」における死の様相と儀礼の構造的な特徴○金基珩
一 はじめに
二 下壇に祀られた霊魂(霊駕)たちの存在様相
三 三壇を中心にみた水陸斎の構造的な特徴
四 おわりに

朝鮮王朝社会における儒教的転換と死生観の変化○姜祥淳
一 序論
二 儒教的儀礼の実踐と性理学的鬼神死生論の受容
三 儒教的死生観と巫俗 · 仏教的死生観の葛藤と習合
四 おわりに

朝鮮王朝時代のあの世体験談の死と還生の理念性○金貞淑
一 緒論
二 仏教的倫理観の文学的形象化
三 仏教の外皮、儒教的含意
四 善悪の具体的提示と勧善書の流行
五 おわりに

朝鮮王朝後期の韓国古小説に見える女性の死と救済○高永爛
一 朝鮮王朝後期の古典文学と謫降モチーフ
二 謫降仙女の死と生き返り
三 人間女性の死と転生
四 朝鮮王朝後期の韓国古小説に見える女性の死と救済

あとがき
執筆者一覧

ご注文

2,200円+税

カートに入れる

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連書籍

同じジャンルの商品

おすすめ書籍

お知らせ

一覧